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公認会計士試験と監査法人

会計の専門家といえば、企業内の経理部門で働く人々、税理士など多くのプロフェッショナルがいますが、真っ先に思い浮かぶのは公認会計士だと思います。公認会計士試験と監査法人でのキャリアについて記載します。

公認会計士の仕事

公認会計士とは

公認会計士とは、一言で言うと会計監査のプロフェッショナルです。全ての会社の企業活動にはお金のやり取りが発生しますが、それを企業は会計帳簿に記録しています。その記録された内容をルールに基づいて正しく行うこと、また正しいことを監査し証明することを主な業務としてます。
その活躍の場は、公認会計士の独占業務である財務諸表監査だけでなく、企業の経理財務部門、コンサルティング会社、IPO支援などさまざまなフィールドに亘ります。

公認会計士試験

公認会計士の資格を得るためには試験に合格しなければなりません。公認会計士試験の概要は資格の学校TACの以下のページに分り訳すまとまっているので、こちらを参照ください。
公認会計士試験の概要(TACより)

現在の試験制度では、短答式は12月と5月の年2回行われており、それに合格したら論文式に進めます。マークシート式の択一式試験ですが、4科目あり試験時間も1日中かけて行われるため、なかなかハードルが高いのと、管理会計や財務会計など計算が必要な科目だと難しい問題にはまらないようにして、正解できる問題を取りに行くという冷静さも求められます。もちろん、一定以上の知識量は必須です。

短答式試験に合格すると8月の論文式試験を受けることができます。論文式試験は会計学、監査論、企業法、租税法、選択科目を3日間にかけて夏の暑い時期に行われるため、肉体的にも精神的にも厳しい試験です。

私自身は一昔前に受験して、短答落ち→論文落ち→論文合格と3年かけてようやく合格しましたが、もう一度できるかというと全く自信がありません。

修了考査

公認会計士としての登録要件は以下のとおりです。

1. 実務経験の期間が2年以上であること
2. 補習所に通学し、必要な単位を取得すること
3. 修了考査に合格すること
 
公認会計士試験に合格すると、大部分が監査法人に入所しますが、監査法人の終業後や土曜日などを利用して3年間補修所に通い、必要な単位の取得を行います。また、監査業務などの実務経験を積む必要がありますが、監査法人で仕事をしていればこれはクリアできます。
最後に、修了考査がありますが、公認会計士試験の論文式試験のようなもので、会計実務、監査実務、税務実務、経営実務、職業倫理の5科目を受験しますが、合格率は50%程度と高くなっているため、普通に実務経験があり、直前に勉強して、当日に力を発揮できれば、特段難しくないです。

私が修了考査を受けたときは直前の2週間、監査法人から試験休みがもらえるのですが、それまでの業務多忙の反動から最初の1週間は遊んでしまい、あわてて最後の2週間で詰め込んで対応しましたが、普通に合格することができました。

修了考査に合格すると晴れて、公認会計士として登録することができます。

試験合格後のキャリア

試験合格後のキャリアとしては、まずは監査法人に入所することが一般的ですが、監査法人でのキャリア(主に監査業務)について記載したいと思います。

監査法人とは

監査法人は、公認会計士の集まりで作られた組織で、4大監査法人(トーマツ、新日本、あずさ、Pwc)で日本の上場会社の監査業務のほとんどを行なってます。主な業務は監査業務ですが、監査業務以外にもアドバイザリー業務、業務改善支援業務、IPO支援業務など多岐にわたります。

監査法人内のキャリア

試験合格後に監査法人に入所するとスタッフとしてクライアントごとの監査チームに配属されます。大規模クライアントだと1年をとおして1社だけの関与になることが多く、中小規模クライアントだと複数社を担当する感じです。
スタッフとして3年程度経験を積むと、シニアに昇格します。シニアは主に監査の現場責任者(インチャージ)として監査現場を取りまとめ、クライアント対応を全面的に一時的な窓口となって監査を進めていくようなイメージです。
シニアで4−5年経験後は、マネージャーに昇格しますが、マネージャーは監査チーム全般のマネジメント(パートナーと監査現場の調整、アサインを決める、全体の進捗管理、問題点解決など)を行います。
マネージャーからシニアマネージャーを経て、パートナーに昇格することになりますが、監査法人でパートナーまで昇格できるのは限られた人であり、最小単位のユニットで概ね同期が20人くらいいたら、3-4人程度でしょう。約半数強が監査法人を退職し、半数弱が監査法人に残ってマネージャーやシニアマネージャーになり、そのうちの少数がパートナーに昇格する感じだと思います。

私自身は、監査業務に対する限界や自分自身の適正、将来の昇進後の業務などを検討した結果、約7年で監査法人を退職しましたが、監査が本当に好きじゃない限り、継続することはモチベーションとして難しく、将来も監査法人で継続的に働くことのイメージができなかったからです。とはいっても、何の経験もなく、試験合格しただけの人間を先輩達に育てていただいて、同期と切磋琢磨して仕事ができたということはとてつもない財産であり、監査法人で働けたからこそ、今の自分があるという点では、とても貴重な経験だったと思います。

まとめ

今回は公認会計士試験や監査法人について簡単に記載しましたが、監査法人後のキャリアについてもまた記載したいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。